1.はじめに


サプライヤーの品質は、規模や業種を問わず、あらゆるビジネスにとって重要です。サプライヤーの品質とは、サプライヤーが顧客のニーズを継続的に満たす製品とサービスを提供する能力のことです。サプライヤーの品質が悪いと、サプライチェーンの運用に重大な混乱が生じ、利益の損失、顧客の不満、そして企業の評判の低下につながります。 

製造業者はサプライヤー品質管理(SQM)の課題に直面し続けており、サプライヤー品質向上は極めて重要です。実際、ForbesのINSIGHTSによると品質担当役員の58%が、サプライヤーの品質問題を重要な未解決の品質問題のひとつと見ています。

この記事では、サプライヤー品質に関して企業が直面する上位5つの課題と、課題に対処するための効果的な解決策を探ります。 

出典:Forbes INSIGHTShttps://i.forbesimg.com/forbesinsights/asq_economics_of_quality/ASQ_Economic_Power_Report.pdf

2.限られた可視性と透明性


サプライヤーの品質における主要な課題は、サプライヤーのプロセスの透明性の向上が求められており、企業が実施している品質管理対策への評価が難しいことです。サプライヤーの業務を明確に理解している企業であれば、一貫した品質を維持し、潜在的なリスクを特定できます。

サプライチェーンは複雑で、複数のサプライヤー・仲介業者・物流プロバイダーなどが関与します。ネットワーク全体で品質を維持するためには、透明性が欠かせません。とくに、サプライチェーンにおいて重要な役割を担うサプライヤーが失敗すると、サプライチェーン全体が大きな混乱に包まれてしまいます。
企業は技術を活用して、サプライヤーのパフォーマンスを確認し、運用においても鋭い洞察を得ることが可能です。ツールとしては、サプライヤー・ポータル・ダッシュボード・スコアカードなどを使用します。複数のツールを使用すれば、企業とサプライヤー間のコミュニケーションと情報共有をより強化させることが可能です。 

3.紛失または古いデータの検索が困難

企業は、情報に基づいた意思決定を行うために、サプライヤーの過去のパフォーマンスに関するデータを参照することになります。しかし、過去のパフォーマンスが複数のシステムに分散されている場合、データを探し出せません。企業が直面する主要な課題の1つは、品質基準を満たさない製品や部品を扱うサプライヤーとの取引です。製品や部品が拒否されたり・返品されたり・顧客からのクレームが増加したりすると、企業の評判が損なわれる可能性があります。

サプライヤーのデータの保存・管理ができる中央集権的なシステムの導入が、データ検索の難しさを軽減する解決策です。データについては、サプライヤーのパフォーマンス・品質問題・その他の関連データに関する情報を統合したサプライヤーデータベースを含む場合があります。企業は、データ分析ツールを用いてデータを分析することで、サプライヤーのパフォーマンスに関するトレンドを洞察し深い気づきを得ることが可能です。

4.コミュニケーションとコラボレーションの崩壊


サプライヤーとの効果的なコミュニケーションとコラボレーションは、品質維持において不可欠です。誤ったコミュニケーション、適切なフィードバックの欠如、コラボレーションがない状況は、誤解・遅延・品質問題を引き起こす可能性があります。 企業は期待事項を一致させ、明確な仕様を提供するなど、サプライヤーとのオープンなコミュニケーションとコラボレーションを心がけなければなりません。 

5.サプライチェーンにおけるリスク管理の難しさ 

サプライヤーの事業が持続可能か、コンプライアンスを遵守しているか、品質要件を満たしているか、などを確認するために、企業はサプライチェーン・リスクの管理を必ず行う必要があります。しかし、複数のサプライヤーや複雑なサプライチェーンが関与する場合、難しい場合があるでしょう。

そういった企業がサプライヤーのリスクを効果的に監視・管理するのに役立つのが技術です。潜在的なリスクを特定し、軽減するために、サプライヤーのデータベースやその他のシステムと統合するリスク管理ソフトウェアの使用などの方法があります。リスク管理ソフトにより、サプライヤーの業務に沿ったリスク管理の規約と手順を確立することも可能です。

6.生産能力の制約と供給の中断

生産能力に制約があったり供給が中断されてしまったりすることが、最終的に重大な問題を引き起こすかもしれません。サプライヤーが需要を満たせないか、運用において大きな中断が発生すると、遅延や品質問題となり、顧客満足度やロイヤルティにマイナスの影響を与えることになるためです。 

企業は、サプライヤーと密接に連携して、生産能力の制約を理解し、供給の中断に対処するための緊急時対応計画を策定する必要があります。

7.サプライヤーの品質管理課題を解決する5つの方法

以下のような積極的なサプライヤー管理を実施することで、サプライヤーの品質を向上できます。

SQMシステムの導入

SQMシステムを導入すると、サプライヤーのパフォーマンスを追跡し、リアルタイムで円滑なコミュニケーションをとり、問題に対処できるようになります。さらに、SQMシステムでは、全サプライヤー関連データを一元的に管理できるため、データの分析も容易になります。

定期的なサプライヤー監査の実施

潜在的なリスクの改善の機会となることから、定期的なサプライヤー監査を実施しましょう。監査により、企業はサプライヤーのプロセス、品質管理手段、全体的な透明性を評価できます。

サプライヤーとの協力

サプライヤーの品質向上に成功するための鍵になるのがサプライヤーとの協力です。企業はサプライヤーと緊密に協力し、品質要件を理解し、自社の目標にあわせるよう促す必要があります。

トレーニングと能力開発に投資する

サプライヤー向け訓練および開発プログラムに投資することで、サプライヤーがプロセスを改善し、一貫した品質を長期的に維持するための支援ができます。

先端技術の活用

モノのインターネット(IoT)やAIなどの先進技術は、サプライヤー品質向上に重要な役割を果たします。IoTやAIなどの先端技術のおかげで、サプライヤーのデータをより高度に分析できるようになり、品質問題をより的確に特定するなど、問題発生前に予測・予防がしやすくなりました。

7.サプライヤー品質管理に役立つTrackWise Digital

TrackWise Digitalというサプライヤー品質マネジメントシステム導入で得られる効果を紹介します。 

◯リアルタイムで監視

サプライヤーのパフォーマンスと品質指標をリアルタイムで監視可能です。製品の品質向上を促進し、ブランドを守るための助けにもなります。

◯承認済サプライヤーリスト(ASL)の更新

承認済サプライヤーリスト(ASL)について、重要な詳細を常に更新した状態を保てます。

◯サプライヤー関係を強化

企業が期待する内容を明確に伝え、フィードバックを提供、品質向上の取り組みなどに役立ちます。サプライヤーとの関係をより強いものにできます。

◯一貫した品質管理の確保

統合されたサプライヤーポータルを実装することで、グローバルサプライチェーン全体で一貫した品質管理の監視が可能です。このプラットフォームは、データをデジタルで取得し、リアルタイムのコミュニケーション、コラボレーション、意思決定を促進するのにも役立ちます。 

◯サプライヤー監査の効果的な管理

サプライヤーの監査をスケジュール・実施・レビュー・是正措置の割り当てはすべて管理可能です。監査タスクを効果的に管理できるようになります。

◯不良品およに不適合製品の削減

不良品や不適合品を削減し、手直し・廃棄・顧客からの苦情に関連するコストを削減できます。 

◯サプライヤー関連の問題に対する効率的な管理

原料またはCMO(製造業者)の製造に関する問題、是正措置および予防措置(CAPA)、または製品・プロセス・設備の変更に関わる全サプライヤー関連の問題を効率的に管理できます。問題となりうる事象は、データとして社内外で共有管理可能です。 

◯サプライヤー関連の苦情の分析と品質およびリスクの分析

サプライヤー関連の苦情を分析し、品質とリスクについても分析することで、製品の改善、顧客満足度の向上、製品を推奨しれくれるロイヤルティの高い顧客の増加を促せます。

◯サプライヤーの是正措置の効率的な管理とリスクの削減

サプライヤーの是正措置を効率的に管理し、リスクを削減できます。事前対応・材料の審査・成分追跡・リスク分析などの重要な品質要素を把握することで、リスクの低減化が可能です。

◯サプライチェーンの中断とリコールの削減

潜在的なリスクを事前に発見し、高品質な制御と顧客へのタイムリーな納品を促進することで、サプライチェーンの混乱やリコールを減らし、高品質な管理と顧客へのタイムリーな配送ができるようになります。

8.サプライヤー品質管理の力をビジネスに活かす

SQMは企業の成功に大きな影響を与える可能性があります。製薬会社のオリオン株式会社は、TrackWise Digitalを導入し、品質プロセスにAIを適用することで、サプライヤー管理システムの透明性と可視性により、品質イベントの平均リードタイムを50%以上短縮できました。 効果的なSQMの恩恵を受けるためにも、この紹介した課題に対処し、サプライヤー品質を向上させる戦略を採用しましょう。業務を強化できるだけでなく、リスク低減・コンプライアンス遵守・患者の安全を確保にも役立てられます。

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